デリバティブ取引の基本と機能

デリバティブ(derivative)は、英語のderive(派生する)の名詞形です。すなわち、デリバティブは、ある元となるものがあってそこから派生した商品の総称で、このある元となるものを「原資産」といいます。デリバティブの日本語が派生商品とされているのも…

日本のODAは民主化に役立っているのか

軍事政権とまともな外交関係をたもちつつも、一方で日本政府は民主化勢力ともパイプをつなぐ努力をしていると強調する。二〇〇二年八月に、G8諸国の現職外相としては、ビルマ現政権発足以来初めてビルマを訪問した川口外相は現政権幹部と会見したほか、ア…

出生数の転換

わが国の人口は、この百年間で約三倍に増加した。幕末以来の経済発展、国力伸張の背景には、人口増加圧力があった。長い間日本は、「国土は狭く、資源が乏しいのに、人口が多い」ゆえに貧しい国だと教えられてきた。人口の増加は、一方で日本人の心のゆとり…

不行使に力の源泉

この決議の経過を追うと、アメリカが最初に提案した案では「武力行使」という表現になっていたが、中国と旧ソ連が強い難色を示し、英国が「最小限」という表現を入れる伸裁案でいったんP5案がまとまった。しかし、さらに非同盟諸国がこれに反対したため、…

フィリピン・権威主義開発体制の陥穿

フィリピンは長らくアメリカの植民地であった。アメリカの指導下に「アメリカンーデモクラシー」を採用し、フィリピンはアジア忙おいては希有な民主主義代議制を擁した国として、第二次大戦後の開発期を迎えた。独立後も国民党と自由党の二大政党制のもとに…

EC共通農業政策の成功

ECの予算の中で農業予算が大きなウェイトを占める事実は、ECがいかに共通農業政策を重視していたかを物語っている。対外的には、EC農産物を保護するための境界価格が設定された。境界価格はデュイスブルク標準価格から代表的な輸入地ロッテルダムヘの運賃、…

アーバンデザインチーム

昭和四八年の末、長かった工事も終わり、土を埋め戻して、地上部分をもとどおりにする原形復旧が行なわれようとしている情報をキャッチした。三万人ほどの職員をかかえる膨大な組織である横浜市役所では、このような、原形に戻すという工事は軽微な問題で、…

法律の世では人間よりもモノを重視する

これらの判決からもまた、交通犯罪に対する寛容さが読み取れる。麻薬や銃が、我々の社会に害毒しかもたらさないことは確かである。しかし上記の麻薬密輸入は、個人的に用いるためのものであって、その行為が他人に直接の被害を及ぼしたものではない。短銃持…

公益法人数の推移

株式会社の財務資料に比べると非常にわかりにくく、運営の財政的状況を正確に映している、とは到底思えないものだ。総理府の調査によれば、公益法人数は九九年一〇月一日現在、二万六三五四法人に上る。うち社団法人が一万二八七二、財団法人が一万三四八二…

粘膜における偽膜形成

粘膜における偽膜形成のような病変も生じない。これは一見不思議なようであるが、つぎのように考えられるだろう。咽頭粘膜に定着したジフテリア菌が粘膜の上で毒素を作ると、この毒素によって粘膜組織の壊死が小規模に起こる。この壊死は、肉眼では見ること…

市場メカニズムを超えた存在

日本企業は、この難しい課題への挑戦を余儀なくされようとしている。個々の商品やサービスについての充足度がすでにかなり高水準にある成熟化した日本市場−かといって、海外市場でのシェア拡大にも制約があるという事情−を前にして、企業は今後ますますこう…

そのままの島の風景

また東京でも、例えばJR線の車両でドアの上に貼ってある案内路線図のローマ字表記が非常に小さいことに気づく。日本語表示と比較すると、フォントの大きさは実に9分の1。これでは乗車中に「今どのあたりを走っているのか」「本当にこの電車でいいのか」…

一律からは独自性あるアイデアは生まれない

国籍、言語、文化、習慣等の違う社員が増え、今後ますます進むグローバル化のなか、当社の教育は今後どうあるべきか、この研修所はどうあったらいいかを考えました。リーダーシップやマネジメントを学ぶ場として活用するのはもちろん、技術の裾野を広げ、さ…

これは大きなパラダイムの転換である

自身の思い出話で恐縮ではあるが、2004年の秋頃の話をしよう。当時大学生で就職活動を始めたばかりだった私は、元大手出版社の人事部長をしていて、今は大学教授をする先生から、「最近は新卒でも即戦力が求められている」という話を聞いた。私はそのとき、…

多くのウイルス病は、ウイルス粒子ができる

多くのウイルス病は、ウイルス粒子ができると同時に宿主細胞が溶解してしまうが、これらのウイルスでも、どこかで宿主細胞あるいは宿主自身を直ちに殺さないような仕組みがあるはずである。ウイルスも、ウイルス粒子を作る増殖よりも、宿主細胞の一部として…

中国が容認できない「二国論」

建国五十年の新中国の歴史は、急進社会主義路線を強行した毛沢東の三十年と、それを修正する形で七〇年代末から進められた近代化路線の郵小平の二十年に大別できる。革命第一世代の毛沢東は、五八年の大躍進運動や、六六年からの文化大革命によって、中国に…

「不公平税制」としての法人税

課税の公平、不公平を判断しうるのは、おそらく自然人としての納税者だけであろう。そこで不公平税制の是正が最も大きな問題になるのは、所得税の世界においてである。ところが、大企業ほど税制上優遇され、税負担も本来のレベルより低すぎるという批判が、…

一歳きざみの年齢集団が意味するもの

あらゆる面で、不平等が存在してはならないのである。もちろん、あとでみるように、勤勉と努力と、そして幸運とにめぐまれた人間が、他の人間をひきはなして「成功」者になることはある。そこでは、成功した人間とそうでない人間とのあいだに、明白な落差が…

ネガティブな弁護士

この記事を読んで、どう思われるでしょうか。実際に皆さんがもし同じような問題に直面したら、どうするでしょうか。法律相談に行ったら、あまり難しいことは抜きに、「何も問題ありません。大船に乗ったつもりで私に任せなさい。何とかしますから」と言って…

一番濃い時期の汚染大気

八四年から、北極圏に領土をもつ米国、カナダ、ノルウェー、デンマークの四力国が共同調査に乗り出し、ようやく全容が分かってきた。スモッグは、幅一六〇キロ、厚さ三〇〇メートルもの帯となって、ときには地上八〇〇〇メートルもの高度に何筋にもなって出…

日本の雇用の最大の問題点は何か

いずれにしても、正社員願望がますます強くなることは間違いないだろう。身近な学生などの若者を見ていてそう思う。そのため、ブラック企業のように労働条件の悪い会社でも、若者が「正社員にしてくれ」と殺到する可能性は十分高い。人口減少・高失業率時代…

FRBにとっては屈辱的なティール

サブプライム問題で金融市場の動揺が始まった○七年夏以降、バーナンキ議長率いるFRBは、マクロ(利下げなどの金融政策運営)とミクロ(金融機関救済など金融システム安定化策)の両面から危機回避の主役として奔走してきた。利下げに転じる直前の○七年八…

国際的な信用秩序を強化

「最終の貸手」としての機能の最大の実際的問題点は、流動性と支払能力の区分である。教科書的には、中央銀行の「最終の貸手」としての役割は、市中金融機関の流動性上の問題に対処するために資金を供給することであって、支払能力まで支援することではない…

インフレーション・ターゲティング

一定のインフレ率を中長期的に達成するためには、中央銀行は数量的な経済予測とシミュレーションを行い、その結果に基づいて政策金利の誘導水準を機動的に見直すといった行動をとる必要がある。その際に、どれくらいの期問をかけて公約を実現するかに関して…

円の国際化

日本は、自らよって立つ足場を固めた後に、懸案の国際社会における日本の出口を見出すことができるだろう。経済的問題としては、日本の金融機関の破綻によって、東南アジアや中国に波及した金融危機を処置しなければならない。それは日本に与えられた国際的…

尊敬と憎しみの感情

つまり私は一方で太平洋戦争の敵国でありつい最近まで日本を占領していた、アメリカという国を、心のどこかで憎んでいたのであろう。一九六〇年の日米安保反対運動に私か参加したのも、心のどこかでアメリカを敵視していたためだったのだと思う。しかし他方…

糖尿病を六年間放置

厳しい競争を勝ち抜いてきた企業戦士の生活の縮図ともいえます。高血圧症、糖尿病ともに自覚症状が何もない時期か長く続く代表的な病気です。検診で高血圧、糖尿病を指摘されても仕事を優先してしまうのもうなずけます。しかしこの二症例は自覚症状か出た時…

安堵の泣き方

ベトナムの痛みをわが心とせよ、と言うことはできる。そう思うこともできる。しかし、他人の痛みをわが痛みとするのは至難である。人の痛いのや辛いのは、三年でも 五年でも我慢するよ、と言うこともできる。そういうことを言うと、眉をひそめる人もいるだろ…

自己血糖測定法を習得

独身、自由、離島ののんびり生活が裏目に(男性・初診時32歳)Jさんは独身の中学校教師、人当たりの良い好青年です。1987年頃からロ渇感があったようです。検診で糖尿病(空腹時血糖295、172センチ、77キロ、BMI26)を指摘され、89年5月(32歳)当科を初診し…

ラザフォードとボルトウッド

地球を構成する物質のなかに放射性元素がふくまれているとしたら、トムソンの地球の冷却の計算は無意味になる。彼の計算にはふくまれていなかった熱源が存在することになるからである。実際、ウラン鉱のように特別にウランが濃縮した岩石以外にも、地殻を構…