公益法人数の推移

株式会社の財務資料に比べると非常にわかりにくく、運営の財政的状況を正確に映している、とは到底思えないものだ。総理府の調査によれば、公益法人数は九九年一〇月一日現在、二万六三五四法人に上る。うち社団法人が一万二八七二、財団法人が一万三四八二。うち高度経済成長期に入った一九六六(昭和四一)年以降に設立された法人が、全体の七割強を占める。

公益法人数の推移をみると、年々増加してきたが、九九年になって風向きが変わり、国所管法人、都道府県所管法人合わせて二六法人、○・五%減少した。これは公益法人への世論の批判が高まったことと無関係ではない。行政改革の一環として都道府県における外郭団体の整理・統廃合や休眠法人などの解散が増えたためである。

公益法人は一法人当たりでみると、収入・支出とも平均値で年間八億円足らず、職員数で二一人弱と小さくみえるが、その全体像となると巨大な規模になる。年間収入・支出とも総額で二〇兆円を超え、九九年度国内総生産(GDP)規模(名目約四九四兆円)の四%に達する。

職員数は銀行の従業員を上回る約五四万八〇〇〇人で、生命保険とほぼ肩を並べる。奇妙なのは、理事数がやたらと多く、四二万三〇〇〇人近くにも上ることだ。公益法人の設立許可と指導監督の権限は主務官庁に与えられているが、この主務官庁のほか機関委任されている各省庁の地方支分部局の長、都道府県知事、都道府県教育委員会も同様の権限を持ち、これらは公益法人の「所管官庁」と呼ばれる。公益法人全体の七四%が都道府県の所管だ。都道府県所管の公益法人の場合も、まるで国所管法人のクローンのように、問題法人が量産されてきた。

都道府県がどれだけ安易に公益法人の設立に手を貸したか、を示すものに、神奈川県教育委員会が作成した「公益法人設立の手引」(九六年三月発行)がある。この中にご丁寧にも、既存の任意団体が社団法人を設立する場合の設立趣意書の作成例が盛られている。これを読んで○○部分に適当な言葉を記入すれば、形式要件が整うようになっている。「……○○の健全な発展、○○の向上を図るには、○○に関する調査及び研究や○○を行うことが是非とも不可欠です」などと書かれてある。