日本のODAは民主化に役立っているのか

軍事政権とまともな外交関係をたもちつつも、一方で日本政府は民主化勢力ともパイプをつなぐ努力をしていると強調する。二〇〇二年八月に、G8諸国の現職外相としては、ビルマ現政権発足以来初めてビルマを訪問した川口外相は現政権幹部と会見したほか、アウンサンスーチーとも時間をかけて話し合った。同年一一月、カンボジアプノンペンで開催されたASEAN+3首脳会談の場で、小泉首相ビルマのタソシュエSPDC議長と会談し、国際社会が民主化の象徴としてとらえているアウンサンスーチーの処遇を含めて民主化へのいっそうの努力を懲憑した。

この時、タソシュエ議長は、国際社会が注目する軍事政権とアウンサンスーチーとの対話は進展しているといいたかったのか、「女史(アウソサンスーチーは関係閣僚と一三回、連絡将校とも一〇七回、既に会っている)などと、わけのわからないことを答えている。ともかく、こうした首脳会談に代表される働きかけが、日本政府のいわば両睨みのスタンスを示すものとされる。

川口外相とアウンサンスーチーとの話し合いのなかで取り上げられた経済援助についていえば、一九八八年以降、日本からの新規円借款は供与されてはいないものの、それなりの援助は続いている。二〇〇二年四月には、ヤンゴン市内の病院医療機材整備のために七億九二○○万円を限度とする無償資金協力が決まった。アウンサンスーチーが自宅軟禁から解放された五月には、日本が賠償協定によって役務を提供し建設された歴史を持つ、バル・チャウツ第二水力発電所補修計画に対する無償資金協力が決まった。当該年度においては六億二八〇〇万円を限度とする資金協力である。