集中力について述べたい

これはむしろ能力的価値のひとつではないかと言われるかもしれない。だが、私は付加価値に位置づけたい。なぜなら、集中力は努力によって高めることができないからである。集中力の散漫な人間は、何をどう訓練してもほとんど変わらない。

ところが、この集中力の差が、仕事のできる人間とできない人間を決定的に分けることになる。一日の就労時間を八時間としよう。集中力を高めて仕事をすれば、八時間で膨大な質と量の仕事をこなせる。だが、人間の集中力は長時間は続かない。もちろん、若干の休憩ははさむにせよ、何かに集中し没頭するとすれば、八時間が限界である。心身ともに疲れ果て、めまいがするほどの感覚に襲われるはずだ。もちろん、より長時間集中力を保つことができれば、それだけ優れた仕事ができることは言うまでもない。

反面、集中力の低い人間は、一時間も仕事に没頭できればよいほうである。一時間仕事をしては、休憩しコーヒーをすする。そのくりかえしだ。八時間労働といっても、実労働時間は四時同程度にすぎない。集中力に勝る人間の半分の仕事しかできないのである。こういう人間に限って、残業が多くなる。そして、「疲れた、疲れた」と愚痴をこぽす。本当に仕事のできる人間は、残業などしない。いや、できないのである。八時間の時間内労働でくたくたに疲れ果てているからである。

仕事は時間の長さではない。時間あたりの密度の濃さである。集中力に優れたSEは、他人の数倍の速度で仕事をこなすとともに、それだけ経験を積むことができる。だから成長する速度も速い。このようなSEこそがこれからの時代を生き抜いていけるのである。

ビジネスマンとしての資質こそが必要になる。ここまで「勝ち組SE」の条件を、本源的価値、能力的価値、付加価値と分けて述べてき
た。ここまで読んで、おやっと思った人は多いだろう。つまり、SE固有の能力や技術について何も述べていないからだ。